ROASTERY
【農園訪問記2023:Primaveraとの出会い】
2025/06/20
朝、街中に響き渡るかのような鳥の声で目が覚めた。
グアテマラシティは山に囲まれているからか、鳥の声や木のざわめきなど、自然の音がよく耳に入ってくる。
ホテルのエントランスを抜けると「Primavera」のクリスが我々を出迎えてくれた。
Primaveraはグアテマラの商社で、私たちは昨年からコーヒー豆を購入している。
去年BERTHのコーヒーを熱心に飲んでくれた人ならば、「ベニートラモス」という名前を聞けば私たちがよくお勧めしていた姿が思い浮かぶだろう。
ウエウエテナンゴ地区の素晴らしい生産者の一人だ。彼のコーヒーもPrimaveraが運んできてくれたものである。

(PrimaveraのCEOナディーンとその父のクリス。今日はクリスがドライミルや農園を案内してくれる)
Primaveraが日本に輸出しているコーヒーのクオリティはどれも素晴らしく、彼らのドライミルや保管庫を見学するのが今回の旅の楽しみの1つだった。
さっそく大型のバスに乗り込み、Primaveraのドライミルヘ向かう。道中、クリスがPrimaveraのカフェで扱っているコーヒーを振舞ってくれた。
グアテマラに来て初めて飲む、美味しいコーヒーだ。生産地ではどこでも美味しいコーヒーが飲めると思っていたがそんなことはなく、ホテルやカフェのコーヒーはローグレードなコーヒーばかり。
スペシャルティランクのコーヒーのほとんどは高値で輸出され、国内にはグレードが低くて安いコーヒーが出回っていると聞く。
グアテマラシティを出て、車に揺られること約1時間。高層ビルがだんだんと少なくなり、代わりにレンガ造りでカラフルな家々が目に入ってきた。地元の人たちが暮らす、温かみのある住宅街だ。
その後もさらにどんどん自然の中へ入っていき、山のふもとにあるドライミルにたどり着いた。大きな倉庫のように見える。ドライミルとはコーヒーが乾燥された状態で運ばれてくる倉庫のことを指し、ここでパーチメントを剝がしたり、選別が行われている。

バスから降りて外に出ると花が空を舞い、これでもかというほど空が晴れわたっている。
中に入ると巨大な機械があり、圧巻。
小規模生産者の人たちは自分で収穫したコーヒー豆をチェリーの状態(もしくはパーチメントの状態)で持ってきて、ここのドライミルで生豆として出荷できるように加工してもらう。

(これでも機械の一部。機械全体で象10匹分くらいの大きさ。騒音もすごい)
値段は聞いていないが小規模生産者が買えるような機械ではないことは一目でわかる。この光景を見て、自分たちが行っている「シェアロースト」のことが思い浮かんだ。
自分たちの焙煎機を貸し出し、誰でも焙煎ができる世界を目指して私たちはシェアローストサービスを行っている。スモールロースターがBERTHのロースタリーに集まり、
時に焙煎のアドバイスをしたりディスカッションを繰り広げたりする景色が日常的に広がっている。
Primaveraが小規模生産者に向けて生産や精製のアドバイスをしているのは、きっと「もっとおいしいコーヒーを広めたい」生産者と一緒に仕事を成長させていきたい」という思いがあるからだろう。
ここでの風景ややりとりを見るだけでそれを汲み取ることができた。
マシンを動かし、パーチメントが付いた状態のコーヒー豆を投入すると、パーチメントが剥がれ、豆がサイズ別に分類され、豆の色が黒や茶色だったりする欠点豆は色彩選別によってはじかれる。その過程を経て最後にようやく残るのが私たちの知っている、焙煎可能な生豆だ。

(パーチメント付き生豆がドライミルに投入されている様子)
ここにはブルボン種やパカマラ種などさまざまな品種の豆が集まるので、品種が変わるごとにミルの設定を変更し、混ざらないようにきれいに掃除している。そのためマイクロロットはブレンドより、時間も労力もかかっている。
私が一番驚いたのはゴミがほとんど出ていないという点。廃棄物として役目を終えるのではなく、すべてが資源になっている。途中ではじかれた欠けた豆や小さい豆はローカルのマーケットで売られ、パーチメントも燃やすための燃料として販売されるようだ。

(途中ではじかれた欠点豆たち)

(はがされたパーチメントは倉庫の外に排出され、一か所に集められている。これを燃料として販売しているとは驚きである)

(ドライミルの中にはたくさんの麻袋が。生産者はナンバーによって分類される。SACOSは袋の数を表す)
このドライミルは太陽光や風力で電力を100%まかなえている。グアテマラ自体も65%が自然発電で、エルサルバドルなどに電力を販売しているようだ。

(このコンテナに積んであるコーヒーはすべてカリフォルニアのVERVE COFFEEに運ばれる。赤いシールが貼られている麻袋は中をチェックしなくてもいいという印)
ドライミルで麻袋に詰められた生豆は真空加工こそされてはいないがしっかりと口を閉めて密閉しているので12ヵ月はおいしく飲める。クリスは収穫期の今のフレッシュな状態が一番おいしいと言う。
このドライミルでは、69kg入りの麻袋が1日に300袋、およそコンテナ1台分のコーヒー豆を精製できるという。目の前に積まれた麻袋の山は、すべてカリフォルニアを中心に展開しているVERVE COFFEEへと送られるそうだ。
「最初はたった10袋からの取引だったんだよ。彼らとは今ではコンテナ単位で取引をしている」
と少し誇らしそうに教えてくれるクリス。
ダイレクトトレードを目指す私たちとしては、この目標が夢の話ではないことが静かに確信できた。
そしてクリスやナディーンも、そうやって月日が経つにつれてコーヒー屋さんとの取引の量が増えていくのを見守ることがこのビジネスの楽しみの一つだと話してくれた。

私たちも取引量を増やし、Primaveraや生産者に影響を与えられるようなロースターになりたいと心から思った。
by 西村



