【農園訪問記2023:グアテマラ最終日】
2025/09/16
今日でグアテマラでの滞在も最終日を迎えた。すべてが初めてのことなので、1日1日があっという間に終わってしまうような感覚だった。今日は滞在の一番の目的である買い付けを行う日だ。
午前中はナディーンが組んでくれたアンティグアの観光ツアーに参加した。アンティグアはグアテマラの旧都で、日本でいう京都的な立ち位置だ。
時折目にする歴史的建造物やカラフルな石畳の町並みは、近代の建物の造りからは大きく離れており、深い歴史を感じさせる。

中米に来るのは初めてだったので、グアテマラがスペインの植民地だったということも、恥ずかしながら現地に来て初めて知った。アンティグアには植民地時代の名残が至るところにある。その一つ、公園を中心として、その周囲に教会や役所、学校などが規則正しく配置されている街づくりはとても印象的だった。
温かく陽気な人々の笑顔や、 カラフルな町並みに触れ、最終日を迎えた今日、もっとこの国の文化や歴史を知りたいという気持ちが湧き上がってきた。
2時間ほどのツアーを終え、グアテマラシティにあるPrimaveraのカッピングラボへ向かう。渋滞を心配していたが、車は順調に進み、12時ごろには市街地に到着した。
Primaveraのラボは、1階が彼女の経営するロースタリーカフェ、2階が広々としたオフィス兼カッピングラボになっている。さっそく2階に上がると、今回の滞在で訪れた農園のカップも含め、30ロットほどのコーヒーを綺麗に並べて待っていた。
ラボの壁にはコルクボードがあり、これまでに送られたロースターのコーヒー豆袋がびっしりと貼られている。去年、ナディーンが日本に来た際に渡したBERTHのコーヒー豆袋も、ちゃんと飾ってくれていた。

(BERTHの豆袋を探せるだろうか?ヒントは上半分)

ロースターはコーヒー豆を買う際に、カッピングと呼ばれるコーヒーのテイスティングを行う。今年収穫されたフレッシュなカップの味を確認し、購入するかどうかを決めていく。ドライミルを通していないフレッシュなサンプルをオファーサンプルという。
オファーサンプルは基本的に生産国でしか飲むことができないので、私も今回初めてカッピングをしたが、まるでジュースのようなフルーティさに驚いた。ここで味わった印象のまま日本に届くわけではなく、ドライミルを通ったり、長い船での輸送を経たりする中で、少しずつフレッシュな印象は落ち着いていく。
BERTH COFFEEは生産者と長期的な関係を築いていきたいと考えているので、毎年同じ生産者のコーヒー豆を買っていく予定だ。そのため、去年からつながりのある生産者のコーヒーを中心に味を確認し、購入を検討した。
ラインナップの中には昨日訪れたラ・コリーナ農園のアントニオのコーヒー豆も並んでいた。彼のコーヒーは上品なジャスミンのようなアロマと、クリーンで透明感のある質感があり、一口飲めば昨日彼が言っていた意味をすぐに理解することができた。
きっと、自分の仕事に誇りを持ち、信念を貫いている人たちは、流行に流されず、いつでも心からいいと思うものを作り続けることができるのだろう。
購入するコーヒーもほとんど決まり、グアテマラでの仕事はひと段落した。日本に届くまでにはここから約半年かかるが、お客さんに飲んでもらえるのが今から楽しみだ。

グアテマラで案内してくれたナディーンとはここでお別れ。彼女自身が若く、さらに女性であることから、以前は周囲から信頼を得るのが難しかったという。でも今では、そのことを微塵も感じさせないほどパワフルで聡明な人だ。一緒に農園を回ったときも、生産者の人たちから厚い信頼を得ているのが伝わってきた。
今回の滞在を通して、国は違えど同じコーヒーを仕事にしている者として、ナディーンは心から憧れる存在になった。来年の買い付けのときにまた再会できたら嬉しい。
グアテマラにはわずか4日間しか滞在できなかったが、この短い期間で、この国の魅力にぐっと惹かれた。もともとグアテマラのコーヒーの味は好きだったが、コーヒーに真摯に向き合う生産者たちの姿には胸を打たれるものがあった。生産者だけでなく、ナディーンのような素晴らしいエクスポーターの存在も欠かせない。
コーヒーの流通は、まるでチェーンのように一つひとつが繋がっていて、どこかが欠けてしまうと、お客さんに最高の状態で届けることができなくなる。今回のグアテマラの旅では、そのことを身をもって体感することができた。
by 西村



