NOTES

雑記:拓己くんとお茶

京都LURRA°の拓己くんから連絡が来て小一時間お茶をした。

「いっしーさん今日お仕事お忙しいですか?よかったらコーヒーでも」と拓己くんからメッセージが来たのが13時半ごろ。「今日めちゃくちゃ仕事するつもりだったんですが自転車パンクするし暑いしで完全にやる気なくなってます……」と返す。

2週間前にチューブを交換したばかりの後輪がもうへたっていて、自転車屋さんに持っていたらどうやらタイヤの方が限界らしい。土曜でお店が混んでいて修理に3時間半ほどかかるとのこと。「これはお茶をするためにちょうど用意された時間かもしれない」と拓己くんに追送しようかとも思ったが、さすがに厚かましいかと思いとどまる。


1時間後、両国のSingle Oに集合。東京の屋外を歩いた人は一人残らずぜんいん悪態をつくんじゃないかというぐらい酷い暑さだった。8月の一番暑い時期から切り取って無理やり貼り付けたような場違いな日差しに道すがらくらくらする。Single O大好きだけど駅から遠いのよね、拓己くんに悪いことしたな……と思いながらコーヒーを頼んだところで拓己くんが到着。「あっついですね〜」とは言っていたけど穏やかな笑顔だった。

 

暑い日に日陰で飲むアイスコーヒーは最高。最近コーヒーが飲めるようになったからこそ味わえる、感動的な瞬間のひとつである。両国のSingle Oはイートインスペースがすべて半外か外で、外でも建物が日を遮ってくれてじゅうぶん涼しい。

拓己くんと二人でゆっくり話すのは初めてだが終始自然にやりとりができたように思う。拓己くんにとってもそうだと嬉しいがどうだろう。ほんとうにただの小一時間のお茶で、ぽつぽつ近況を報告し合うくらい。気楽。不思議とそういう時間が減っていくよね。

拓己くんは多方で忙しいらしく、LURRA°の経営をしながら、新たなプロジェクトのことを考えたり、いくつかの他社のお手伝いをしたり、連載をしたり、和食を海外に進出させるにあたって「和食」を定義づけようとする流れを止めたりしていると言っていた。いろんな仕事と役割がある。

「いろんな案件くると思うんだけど、受けるか受けないかどうやって選択してるの?」

と質問すると「今は、その仕事が面白そうかどうかですね」と答えてくれた。そして「以前は学びになりそうかどうかみたいな観点もあったんですけど、今は基盤があるから、かえって前よりふらふらできます」と付け加えた。

自分は何者になりたいかを考えるよりも、自分の好きなことをやったほうがいいよね。どうせ自分以外の誰にもなれはしないんだし。尊敬する先輩が「60代になると、もう嫌いなことはなるべくしたくない。好きなことだけしていたい。じゃあ自分の好きなことってなんだろうと考えてみると、僕の場合は30代までにやったことにすべて帰っていく」と言っていて僕はその言葉が好きなのでよく思い出している。拓己くんには「へえ、いいね」としか言わなかったけどそのときも思い出していた。

そのあともちょっとだけ話をして店を出る。16時前。拓己くんはそこから2軒お店に立ち寄って京都に帰るらしい。それじゃまた、と言って店先で解散。気温はぜんぜんまだまだ暑いものの、ゆったり過ごしたおかげか清々しい。日中、人と会って話すときどうしても自分たちの店を選んでしまいがちだが、特に見知った人とはあえて外に行くのもいいなと思った。

Written by

石崎嵩人

Backpackers' Japan取締役CBO。2010年2月に他創業メンバーと共にBackpackers’ Japanを設立。取締役として予約導線設計や広報戦略を担当。2022年にCBOへと肩書きを変更し、会社のコーポレートアイデンティティ設計やブランド構築、事業ごとのコンセプト策定やクリエイティブディレクションを行う。Backpackers' JapanのCBOとして日々過ごすなかであったこと、ふと思ったこと、出会った人とのことをNOTESにまとめています。