-
STORY
第16話 | 2009年9月11日
9月。本間君が僕たち三人を誘ったその日から一年が経つ節目の月。毎年の決まり文句のように残暑は厳しく、僕たちたい焼き屋にとって、売上げが伸び悩む夏はもう少し続きそうだった。 四人で一緒に住み始めて四…
-
STORY
第15話 | 2009年5月21日
白いたい焼き店のオープンを二日後に控えた5月21日、僕たちは家を出て開店準備中の店へと向かっていた。 たい焼き屋の店舗工事は先月末頃から始まっており、現時点ではすでにそのほとんどが終了している…
-
STORY
第14話 | 2009年5月6日
大分に着いたのは午後になってからだった。五月の麗らかな陽気の中、のどかな景色の県道を走る。長時間の運転のわりに、みな疲れはさほど感じていないようだった。琢也君以外にとっては初めての土地で、軽い興奮状…
-
STORY
第13話 | 2009年4月29日
「っしゃ、誰が一番多く車を抜けるか競争しよう!」 ハンドルを握りながらそう宣言する本間君を僕は呆れ顔で見つめた。僕は助手席の窓に肘をかけて 「しばらくは交代しなくても大丈夫そうだね」 と話しか…
-
STORY
第12話 | 2009年3月29日
約束の29日がやってきた。静岡のお茶工場に二人だけで働きに行くかそれとも全員辞退するかを、今日中に社長に伝えねばならなかった。 これから行なうミーティングでそのことについてが話し合われ、それと同時…
-
STORY
第11話 | 2009年3月26日
帰宅してベッドに放り投げていた携帯電話が突然鳴った。ハンガーに掛けようとしていたスーツを一度椅子の上に置き、電話を取る。着信は琢也君からだった。 琢也君から僕に電話がかかってくること自体そうあるも…
-
STORY
第10話 | 2009年2月17日
19時を過ぎたあたりからみなめいめいに片付けをはじめ、僕と、斜向いのデスクに座る先輩を除いて部署の人はあらかた帰ってしまっていた。 僕が働く会社では夏以降、19時半以降の残業は特別な申請無しにはで…
-
STORY
第9話 | 2009年1月4日
事務所に戻った僕らは置かれたソファに腰掛け、4月からの雇用に関して社長と改めて話をした。ここからが本題だった。 僕たちの要望は ①4月1日から働かせてもらいたいこと ②住み込みで働かせてもらい…
-
STORY
第8話 | 2009年1月3日
1月3日。僕たちは東京でレンタカーを借りて静岡へと向かっていた。 運転席に本間君、助手席に琢也君、後部座席に僕とミヤが座った。四人でどこかに出掛けるのはこれが初めてだった。琢也君が助手席の窓か…
-
STORY
第7話 | 2008年12月22日
僕たちが四人のチームになってから二ヶ月が経とうとする頃、仕事を終えた僕はミヤのアパートへと向かっていた。 スカイプでのミーティングには四人とも慣れて来ていたが、年が終わる前にやはり一度顔を合わせて…
-
STORY
第6話 | 2008年10月27日
本間君は僕たち二人の困惑を無視して言葉を接いだ。 「日本もいいんだけど俺は世界一周がしたい。行きたいやつみんな連れて。こうさ、まっすぐ続く道をさ、日本人10人ぐらいがみんなバックパック背負って歩く…
-
STORY
第5話 | 2008年10月22日
初のミーティングからちょうど一週間後に二度目のミーティングは行なわれた。議題は今後の行動計画に関して。相変わらずSkypeを使っての顔の見えないミーティングであった。前回の話を受けてミヤは出席し…
-
STORY
第4話 | 2008年10月2日
10月に入ってすぐに本間君から連絡が来た。「ミーティングをしよう」という内容だった。メンバーは本間君と、琢也君、ミヤ、そして僕の合計四人。 本間君は僕を誘った後にミヤにも声を掛けて…
-
STORY
第3話 | 2008年9月27日
「なんで琢也を誘ったかっていうと、簡単に言うと俺と正反対の人間だから、だね」 「一から聞かせてほしい」という僕の質問に本間君はこう答えた。 前回の話し振りから考えても、本間君はすでに確かにやるか…
-
STORY
第2話 | 2008年9月22日
朝目を覚ますと、何人かはすでになにも言わずに帰ってしまったようで、僕だけが起きていて、数人がまだ寝ていた。 普通ならみんなが起きるタイミングまでなんとなくゴロゴロとその場にいたり、もしくは「今日は…
-
STORY
第1話 | 2008年9月21日
大学卒業後、企業に勤め出してから半年が経ち、都外への出張もようやく一人で行かせてもらえるようになった頃だった。 出張のときは郊外に宿を取ることが多いので、夜の間は時間はあってもすることがない。その…