STORY


   

会社創業までの二年間と、創業後三年間の話を少しずつまとめています。

EPISODE 21

2010.5.10

初めて入谷駅に降り立つ。東京に住んでいちおう三年目になるけど、駅名を聞いてもなにも思い浮んでこないぐらい、まったく馴染みがない。 「どう、『入谷』」 ゲストハウスの物件探しが始まってからというもの、新しい駅に降りるたびに …続きを読む

EPISODE 20

2010.4.21

中学校の修学旅行で来て以来の京都である。 久しぶりに降り立った駅前は僕が記憶しているよりもずっと多くの人が行き交っていて、この一ヶ月の間に訪れたどの街よりも賑わいがあった。 指定されたゲストハウスのカフェまで歩いて向かう …続きを読む

EPISODE 19

2010.2.12

「……ここに押せばいいんだよね」 「そうそう。俺と琢也の下ね」 テーブルの上には広げられた定款。会社登記の際、法務局に提出しなければならない書類のひとつである。 僕は三人の視線を浴びながら右手に小ぶりな印鑑を持って震えて …続きを読む

EPISODE 18

2010.1.31

旅行業ではなく宿をやろう、だったら誰かがやる前にいち早くはじめよう。そんなことを本間君が言い出してから一ヶ月が経った。年が明けても僕らの混迷した状況はほとんど変わらず、計画通り世界一周に行くのか、行かずに宿業に方向転換す …続きを読む

EPISODE 17

2009.12.18

9月の中頃に厚木店がオープンしてから三ヶ月。今月の頭に四店舗目の町田店ができ、予定通り僕が店長を務めることとなった。計画よりは少々遅れてしまったものの、これで無事、当初の目標だった「一人一店舗」が達成されたわけである。 …続きを読む

EPISODE 16

2009.9.11

9月。本間君が僕たち三人を誘ったその日から一年が経つ節目の月。毎年の決まり文句のように残暑は厳しく、僕たちたい焼き屋にとって、売上げが伸び悩む夏はもう少し続きそうだった。 四人で一緒に住み始めて四ヶ月、白いたい焼きの八王 …続きを読む

EPISODE 15

2009.5.21

白いたい焼き店のオープンを二日後に控えた5月21日、僕たちは家を出て開店準備中の店へと向かっていた。 たい焼き屋の店舗工事は先月末頃から始まっており、現時点ではすでにそのほとんどが終了している。僕たちが今日四人全員で店へ …続きを読む

EPISODE 14

2009.5.6

大分に着いたのは午後になってからだった。五月の麗らかな陽気の中、のどかな景色の県道を走る。長時間の運転のわりに、みな疲れはさほど感じていないようだった。琢也君以外にとっては初めての土地で、軽い興奮状態にあるからかもしれな …続きを読む

EPISODE 13

2009.4.29

「っしゃ、誰が一番多く車を抜けるか競争しよう!」 ハンドルを握りながらそう宣言する本間君を僕は呆れ顔で見つめた。僕は助手席の窓に肘をかけて 「しばらくは交代しなくても大丈夫そうだね」 と話しかける。 シート越しに後ろを見 …続きを読む

EPISODE 12

2009.3.29

約束の29日がやってきた。静岡のお茶工場に二人だけで働きに行くかそれとも全員辞退するかを、今日中に社長に伝えねばならなかった。 これから行なうミーティングでそのことについてが話し合われ、それと同時に僕たちの四月からの行動 …続きを読む

EPISODE 11

2009.3.26

帰宅してベッドに放り投げていた携帯電話が突然鳴った。ハンガーに掛けようとしていたスーツを一度椅子の上に置き、電話を取る。着信は琢也君からだった。 琢也君から僕に電話がかかってくること自体そうあるものではない。ミーティング …続きを読む

EPISODE 10

2009.2.17

19時を過ぎたあたりからみなめいめいに片付けをはじめ、僕と、斜向いのデスクに座る先輩を除いて部署の人はあらかた帰ってしまっていた。 僕が働く会社では夏以降、19時半以降の残業は特別な申請無しにはできない決まりになっていた …続きを読む

EPISODE 9

2009.1.4

事務所に戻った僕らは置かれたソファに腰掛け、4月からの雇用に関して社長と改めて話をした。ここからが本題だった。 僕たちの要望は ①4月1日から働かせてもらいたいこと  ②住み込みで働かせてもらいたいこと  ③仕事の内容に …続きを読む

EPISODE 8

2009.1.3

1月3日。僕たちは東京でレンタカーを借りて静岡へと向かっていた。 運転席に本間君、助手席に琢也君、後部座席に僕とミヤが座った。四人でどこかに出掛けるのはこれが初めてだった。琢也君が助手席の窓から煙草の煙を吐き出す。冷たい …続きを読む

EPISODE 7

2008.12.22

僕たちが四人のチームになってから二ヶ月が経とうとする頃、仕事を終えた僕はミヤのアパートへと向かっていた。 スカイプでのミーティングには四人とも慣れて来ていたが、年が終わる前にやはり一度顔を合わせて話をしようというふうに前 …続きを読む

EPISODE 6

2008.10.27

本間君は僕たち二人の困惑を無視して言葉を接いだ。 「日本もいいんだけど俺は世界一周がしたい。行きたいやつみんな連れて。こうさ、まっすぐ続く道をさ、日本人10人ぐらいがみんなバックパック背負って歩くんだよ」 説明を加えた彼 …続きを読む

EPISODE 5

2008.10.22

初のミーティングからちょうど一週間後に二度目のミーティングは行なわれた。議題は今後の行動計画に関して。相変わらずSkypeを使っての顔の見えないミーティングであった。前回の話を受けてミヤは出席しなかった。 本間君はこの3 …続きを読む

EPISODE 4

2008.10.2

10月に入ってすぐに本間君から連絡が来た。「ミーティングをしよう」という内容だった。メンバーは本間君と、琢也君、ミヤ、そして僕の合計四人。   本間君は僕を誘った後にミヤにも声を掛けていたが、その話の内容やミヤ …続きを読む

EPISODE 3

2008.9.27

「なんで琢也を誘ったかっていうと、簡単に言うと俺と正反対の人間だから、だね」 「一から聞かせてほしい」という僕の質問に本間君はこう答えた。 前回の話し振りから考えても、本間君はすでに確かにやるかやらないかでは悩んでいなか …続きを読む

EPISODE 2

2008.9.22

朝目を覚ますと、何人かはすでになにも言わずに帰ってしまったようで、僕だけが起きていて、数人がまだ寝ていた。 普通ならみんなが起きるタイミングまでなんとなくゴロゴロとその場にいたり、もしくは「今日はどうする?」と言って周り …続きを読む

EPISODE 1

2008.9.21

大学卒業後、企業に勤め出してから半年が経ち、都外への出張もようやく一人で行かせてもらえるようになった頃だった。 出張のときは郊外に宿を取ることが多いので、夜の間は時間はあってもすることがない。その日も長野市と上田市の間に …続きを読む

今となってはバーやカフェを併設したゲストハウスは珍しくないけれど、僕たちがゲストハウスtoco.を開業した2010年、そういった形態のゲストハウスはかなり少なかった。 僕と本間君(会社代表)が当時国内の安宿を回った末に出 …続きを読む